マンションの収益事業について
ご存知の通り、マンションは人が住むための建物であって、収益事業をすることを目的としていない。法律的にもこれを前提としているため、マンションの収益事業には営利法人同様に課税されることになっている。すなわちこれは、収益事業をやる場合は確定申告が必要になるということを意味している。
収益事業の定義
収益事業とみなされるかどうかは、共済事業であるかどうかで決まる。要は、管理運営上必要となる業務かどうかということだ。例えば、居住者(厳密には所有者)がマンション内の駐車場を有償で使用する場合は、収益事業とはならない。これは、管理費の割り増し金として解釈されている。(ようである。)
一方で、空いた駐車スペースを外部へ貸し出した場合はどうか。これは、収益事業として扱われるため、課税の対象となる。
収益事業の種類
では、収益事業には一体どんなものがあるのか。先に記した通り、駐車場の外部貸し出しをはじめとして下記のようなものが挙げられる。
物販ももちろん収益事業とみなされる(マンションという建物で物販事業は成立しにくいと思われるが。)。有償を前提としているが、無償で貸し出すメリットがない以上は、無償のケースは稀だろう。
したがって、こういった共済事業以外の収益事業は全て課税対象となり、税務申告が必要となる。
おおよその課税額
まず知っておかなければならないのが、均等割という税金だ。これは、収益活動を前提としているならば、儲かっても儲からなくても課税されるものだ。市と県それぞれから均等割というものがかけられるため、おおよそ8万円の税金となる。(市と県によって若干金額が異なります。)
収益がプラスの場合は、下記のような税金が必要となる。
(これらに、均等割が加わります。)
仮に年間40万円ほどの広告収入があったとしよう。これに掛かる税金はざっと13万円となる。ここに税理士さんへの確定申告費用が6万〜10万ほど足されるため、合計で23万円程度は税務関連のコストとなる。結果的に半分も残らない計算になる。
逆にいうと、年間に100万円以上の利益が出る場合にはそこそこの利益が残ると言える。課税後に残る数十万円のお金を10年も積み立てればそこそこの金額になり、大規模修繕時に活用することもできる。
それでも必要になる収益事業
マンションストック数は平成28年度末時点で約633万戸となっている(2020年時点で約660万戸)。そのうちの約300万戸以上が築20年以上を経過している。10年後には、築30年以上のマンションが300万戸以上になるということだ。マンションの寿命が50年〜60年ということを考えると、いかに管理運営を最適化しながらコストを圧縮し、来るべき建て替えにどのように備えるのか、ということを考えなくてはならない。
このことから、年間数十万円であっても、20年以上も積み立てれば結構なお金になる。貯蓄のみならず、金融商品で運用することも可能だ。収益事業の選択肢はまだまだ限られてはいるが、マンションにおける収益事業が当たり前の世の中になっていくに違いない。