実は知られていないマンションの管理費と修繕積立金の使途

マンションの所有者になれば、毎月の管理費や修繕積立金が徴収されるコトぐらいは世間の常識になっている。しかし、毎月徴収されるお金の使い道まで把握している人は実はあまりいない。マンションの管理会社に丸投げし、輪番制の理事会や総会の運営もほぼ全て管理会社に任せっきりになっているため、それは当たり前の状況だと言える。しかし、それではいけない。管理会社はあくまでも管理組合のサポート役(有償)でしかないからだ。主権は管理組合にあるという原理原則から考えれば、毎月徴収されるお金の使途は少しでも把握しておくべきだと言える。

 

管理費の中身

  1. 管理員の人件費(管理員がいなければ不要)
  2. 公租公課
  3. 共用設備の保守維持費及び運転費
  4. 備品費や通信費その他の事務費用
  5. 共用部分等に係る火災保険料やその他損害保険料等
  6. 恒常的な補修費
  7. 清掃費用や消毒費用等
  8. 委託業務費
  9. 専門的知識を有する者の活用に要する費用
  10. 管理組合の運営に要する費用
  11. その他敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用

これらの合算費用が共用部分の持分割合によって分割され、各戸の負担金額が決まる。これだけの項目があるため、よくよく考えてみるとコストダウンできそうな項目があるコトも見えてくる。もちろん、それら各々の費用を下げるコトで、毎月の管理費ダウンにつながる。

 

修繕積立金の性質

このお金の使途は名前にある通り「修繕」のためとなっている。しかし、修繕のためだけに使われるワケではない性質があるコトまで把握している人は少ない。積み上がった修繕積立金を取り崩すコトで下記のような使い方をするケースがある。

  1. 不測の事故等により必要となる費用
  2. 敷地及び共用部分等の変更や処分
  3. 区分所有者全体の利益のために特別に必要となる費用

各々の具体例としては、不測の事故等というのは自然災害などを含む事態によって生じる費用となる。例えば、共用部分が地震によって損傷し、それが保険などではカバーできないようなケースが挙げられる。

敷地及び共用部分の変更とは、駐車場の増設や撤去等が挙げられる。区分所有者全体の利益のためというのは、各戸にパラボナアンテナを設置したりするようなケースとなる。 

マンションの寿命は数十年もあり、非常に長期間の運営が前提とされなくてはならない。しかし、未来は常に不明確であり、予想ができない。この普遍的な事実を鑑みると、必ず生じる経年劣化による修繕のために積み立てられたお金は取り崩さない方がベターだと言える。取り崩して使い込んでしまえば、後になってお金が本当に必要になった時に、それが足りず、各戸から持ち出し金を要望しなくてはならない。

 
こういった事態に備えるためにも、日頃から合理的な管理運営体制を敷くコトで、必要最小限の徴収金でコトが収まるようにしていくべきである。自分たちのお金は自分たちで能動的にコントロールすべきだ。