マンション集会の決議は欠席裁判化できる?!

マンションという共同住宅には民主主義のルールが取り入れられている。これは皆の意見や考えを意思決定に存分に反映させるための仕組みだ。同時に、コンセンサスを取るために多くの時間や労力を費やすコトも含んでいる。

さまざまな価値観の人間が一つの敷地や建物を共有するため、各々のマンション固有の問題が発生するのは当たり前のコトであり、そういった問題を集会などを通してコンセンサスを図り、事態を収拾していくものである。

しかし、一方でそんなコトにはおかまい無しの人が多いのも事実だ。意欲的に無報酬で理事を引き受けている人にとっては(報酬化している管理組合もある。)、なかなか疎ましい状況となる。しかし、区分所有法には便利なルールがある。

 

決議事項の例外処置

原則的には、総会(集会)の決議要件としては、あらかじめ通知した事項のみの決議しか有効とならないルールがある。これは、集会通知の際に、「皆でこの議題に関して決議をとります。」と言った事項についてしか決議ができないというコトだ。

 
なぜならば、あらかじめ通知した事項以外の決議をとる場合に不都合が起きるからだ。それは、あらかじめ通知された事項を(事前に)確認して、出席しないコトを決めた議決権者の意思を含むコトができなくなる為である。

 
集会という場は、区分所有者が数ヶ月か1年に一回顔を合わせる貴重な場となっている為、いろいろな意見や顕在化していない問題についての対応策などについても声が上がりやすい。そんな有機的な場であるにも関わらず、すぐに決めて実行できる比較的容易な事項についてもあらかじめ通知された事項でなければ決議できないのは悩ましい。

こういった問題を対応すべく、区分所有法第37条の第二項には下記のように例外処置が定められている。

 

決議事項の制限 (第37条第二項 抜粋)

集会の決議につき特別の定数がさだめられている事項を除いて、規約で別段の定めをする事を妨げない。

条文中の「特別の定数がさだめられている事項」とは、議決権の3 / 4を必要とする特別決議のコトである。建て替えや、規約の変更等をするときに適用される決議事項である。こういった特別決議事項を「除いて」と書かれているので、議決権者の過半数を要する普通決議事項ならばOKという意味になる。

そして、もう一つ気にしておくべきは、「規約で別段の定めを・・・」と記述されている点である。この例外処置を有効としておく為には、事前に規約を特別決議によって変更しておく必要がある。

上記に示した条件をクリアしていれば、集会での有機的な意見や考えを迅速に運営に反映していくコトが可能となる。ただし、上記に書かれている通り、普通決議事項に限られる点に注意が必要である。

議決権の過半数以上が必要になるというコトは、集会の場に議決権者の半分以上が出席している必要があるというコトとなる。過半数にも満たない出席者で議論して、(事前に通知していない事項について)決議しても意味をなさないというコトだ。

 
制限はあるものの、このような便利な条文(ルール)が存在するため、有効的に活用し、持ち主である区分所有者が主体となって合理的かつ有機的なマンション管理の運営につなげていくべきである。