割に合わないマンション建て替えの現状と解決策

マンションの老朽化の行き着く先は「建て替え」が待っている。カタチあるものは必ず朽ちていく。しかし、日本のマンションの寿命設定はあまりにも短い。地震が無いとは言え、築50年以上の共同住宅は世界中にいくらでも存在し、しかも現役で使われている。

国土交通省のデータによると、1975年から2014年の約40年間で建て替えられたマンションはたったの250棟となっている。(この数字には阪神大震災による建替え件数は含まれていない。)250棟を39年で割返すと、6.4棟/年という数字が浮かびあがってくる。非常に少ない。

 

建て替えが少ない理由

シンプルに、お金が掛かりすぎる。これに尽きる。そして、建て替え自体は相当危険な建物と判断されない限りは建て替えする義務がない。実際に建て替えをするとなっても、建替中の住居も探さなくてはならず、年という単位で賃貸などを手配して住居を用意する必要がある。取り壊しから、新しい建物が建つまで考えただけでも莫大なお金が掛かることぐらいは誰にでもわかる。皆、お金を払いたくないのだ。ましてや高齢者に次の30年、50年を考えてそんな決断ができる人が居るはずがない。余暇にお金を使いたいと考えるはずだ。

 

大きな矛盾点

無責任に建て替えを叫ぶ自称専門家の方々は、建て替えのメリットに重点を置いて持論を展開している。容積率の緩和によって建て替えるマンションは建て替え前よりも大きくできるため、その分の部屋を分譲すれば良いと。日本のマンションストック数は600万戸を超え、まだまだ数字が伸びている状態だ。それに加えて、人口が減少し始めているこの国で、マンションの需要が明らかに減少するコトはデータが示している。島国の日本で、人口減少をまかなえるだけの移民を受け入れるのも現実的に難しい。民泊で外国人が出入りするだけでも大きな拒否反応を示すのだから。

解決策

抜本的な解決策はない。冒頭にも書いた通り、カタチあるモノは必ず朽ちてしまう。老朽化は絶対に避けられない。ただ、老朽化を遅らせる方法と、いざという時のお金を少しでも多くセーブするコトで出費を抑制するコトは創意工夫でどうにかなる問題だ。

例えば、大規模修繕費用を安くするコトで、大きなお金をセーブできる。または、全部委託のマンション管理の内容を見直して半分だけの委託に切り替え、後の半分は自分たちで手分けするコトで管理会社に支払う毎月のお金をセーブするコトもできる。有機的に管理をしていくコトで、建て替えのタイミングや負担を最小限に抑えるコトは現実的に可能だ。自分の資産は自分のアタマで考えて守るしかない。