マンションの積立金横領防止のために気をつけるコト

マンションには埋蔵金とも言える積立金がある。これは約12年の周期で実施される大規模修繕に備えるためのお金のことだ。理事にでもなれば多少は積立金の管理について知ることもあるだろうが、それでも輪番制をしいていたり、マンション管理会社に任せっきりならきちんとした仕組みそのものを覚える機会が無いだろう。非理事の区分所有者なら、なおさらに関心があるはずがない。

関心が湧かない理由は、「きちんと管理されている」というアナタの勝手な妄想や性善説を信じる気持ちがどこかにあり、そこに横領の隙を作ってしまっているのだ。多額の修繕積立金が横領される事件は決して珍しくはない。毎年発生している。

 

2種類のお金

マンションの区分所有者になると毎月発生する支払いには、管理費と修繕積立金という2種類のお金がある。管理費は管理会社への委託費用を含む恒常的にかかる費用だ。一方、修繕積立金は大規模修繕に向けて積み立てられるお金のコトだ。積み立てる理由は、大規模修繕には多額の費用が掛かるからだ。

 
この2種類のお金を合わせて毎月自動的にアナタの口座から引き落とされている。引き落としされている金額の内訳(管理費・修繕積立金)がわからない人は、管理会社に問い合わせるか、管理規約を見てもらえればわかるはずだ。

 

修繕積立金管理の仕組み

アナタから徴収された2種類のお金は、管理組合名義の収納口座と保管口座に分けられたり、収納・保管口座という一体型になった1つの口座に集められる仕組みになっている。恒常的な管理費を支払うためのお金は収納口座等が使われ、将来に備えるための修繕積立金は保管口座に集められる仕組みになっている。(収納・保管口座の場合はこの口座から管理費を支払い残りはそのまま積み立てられる)

 
そして、その修繕積立金を貯めていくための保管口座の管理は、管理組合で管理することになっており、原則として管理会社が通帳は印鑑等を保管しないルールになっている。(例外として、管理者等が決まるまでの比較的短い期間については管理会社が保管しても良いことになっている)

管理組合と言っても、理事という名ばかりの役職がついたアナタの隣人で、ただの自然人だ。輪番制であってもそうでなくても、無職の人やお金に困った人が理事になることもある。そもそも隣人の家計などわかるはずもなく、理事になった区分所有者の属性や信用力など知る由も無い。

横領防止のポイント

大抵の積立金横領事件は、長期間にわたって少しずつ横領されるケースがほとんどだ。それで株を買ったり、FXに投じたり。本人は増やしせばまた元の口座に戻せばいいと思っている程度なのだろうか。 住人のほとんどが管理に無関心であるということが一つの引き金になり得る為、きちんと監視の目が光っていることがわかるように仕組みを構築するコトが防止策のポイントとなる。

具体的な方法論

毎月決まった日 (の前後数日以内) に保管口座の記帳を実施するとともに、全員にそのコピーを配布する。また、輪番制等で決められた人等が、通帳原本とコピーの内容が合致するか確認し、捺印する。(コピーだけだと改ざんしやすい為。)
1年に1度開催される会計報告がなされる総会にて、銀行の残高証明書原本を数人の出席者でチェックし確認印を捺印する。(現状は、原本のチェックまでルールにはなく、コピーの配布しかされないケースがほとんど。)

他にもマンションそれぞれの事情に応じて違った対応方法があるに違いないが、一番大切なことは自分たちの資産であることを認識して、その保全に住人全員が気にしているということを区分所有者がお互いにわかるようにしていくことだ。

横領され、株などで埋蔵金が溶かされた日には、新たに修繕積立金を徴収されることになり、アナタ個人のダメージに直結するコトは避けられない。時間が進む限り、多額の費用を要する大規模修繕の日は必ずやってくる。