「マンションは管理を買え」はウソ?!

このフレーズはマンションの購入を考える人なら一度は耳にしたコトがあるのではないだろうか。決して間違ってはいない内容だ。しかし、高い管理費を払えばそれで良いかと言えばそうでもないコトも断言できてしまう実体がある。結論から述べてしまうと「マンション管理に最低限の関心が持てないのであれば、マンションは買うな」というコトだ。こちらの方が不確実性の多い今の時代に即している。その理由を下記に記す。

 

ネギ鴨

日本のマンションの90%以上が、管理会社にその管理を委託している。自主管理している管理組合はほんの数パーセントだ。まずこの管理会社だが、管理業務主任者という国家資格と2年以上の実務経験が求めれるプロが在籍しており、清掃などの肉体労働以外は彼らが管理業務を担ってくれている。その道のプロというコトと、管理もしてくれているコトから頼りすぎてしまう傾向にある。そうなるとどうだろうか、管理組合の運営はほぼ彼らのアドバイス通りで進むようになるリスクがある。

例えば、どこどこが故障しているから直しましょう。見積もりはこちらで手配しておきます。そして、見積もりを見たときには想像もしていなかったような額が提示されている。しかし、彼らは相見積もりした結果だと言い切る。結果的に、管理会社経由で工事をお願いするコトになるが、こんなコトが定期的に起き、積立金が無駄に削られていくコトがある。要は足元を見られているのだ。

どうしてこういった現象が起きるかというと、管理会社とはいえ利益追求集団組織となる株式会社だからだ。管理業務以外でも施工会社との橋渡しをすることでキックバックを取るコトで、収益を増やす機会が増える。工事費が異様に高いのはそのせいだ。特に注意しなくてはいけないのは、約12年周期で実施する大規模修繕。大金が動く工事は格好の収益機会となる。

頼れる管理会社や管理業務主任者が居るというのは良いコトだ。しかし、全てを任し切ってしまうのはいけない。時には自分たちで工事会社に問い合わせるなどして管理会社手配の工事費と管理組合が直接手配する工事費を比べてみると分かりやすい。そうしないと、無駄なお金を払わされる一方で、ネギを背負ったカモのように扱われてしまう。無駄なお金など1円もない。高い管理費を払ってもそれが適正に使われなければ、ただ単にドブにお金を捨てているだけだ。 

横領

管理会社もあまり信用できず、区分所有者の有志に会計の知識があるとかで住人の特定の人に任せるようなケースもある。これはこれで危険だ。横領されて使い込まれる事件が毎年発生している。横領事件のほとんどが、長年会計担当だったケースが多い。少なくとも複数人で輪番制を敷くことなどの対処が必要だ。会計担当理事のみならず、管理会社が横領するケースもあるので注意してほしい。毎月通帳のコピーを全室に配り、通帳原本を複数人がチェックして確認の捺印をするなどの仕組みがあるとより安心かもしれない。忘れてはいけない。自主管理でうまくやっているトコロもあるのが現実だ。うまくやる方法が必ずある。当事者意識を持って管理に目を向けるただ当たり前のコトをしているだけだ。

二つの老い

日本のマンションは2つの老いにさらされていると言われている。一つは人の老い。もう一つは、建物の老い。新築マンション購入の場合は、建物の老いは気にしなくていい。上記に述べた2点だけ気をつけておけばいいだけだ。しかし、中古マンションを買う人やすでに所有している人はやはり気をつける必要がある。適切な管理をしないと、無駄な出費が家計を直撃する。それこそ、横領や無駄な工事があれば、持ち出し金が必要となる。

また、新築マンション購入の場合でも、人の老いだけは避けられない。その上、運命共同体となる住人全員が同じように若い世代とは限らない。情報やお金の管理に疎い老人が理事長を務めるのは良いことでない。ミスも起きるし、悪徳管理会社からは恰好のネギ鴨にされてしまうリスクがある。

総論

全てお金のロスに結びつくということだ。管理会社への丸投げもいけないし、一部の区分所有者に任せっきりにするのも良くない。住人皆がきちんと関心を持って管理に取り組めば、ローコストでマンション管理をしていくことが可能だ。理想的な最終系は間違いなく自主管理だろう。管理会社への毎月の出費がない分、積立金を多く確保でき、地震などによる不慮の災害にも対応できる。または、毎月の積立金負担を低く設定することも可能となり、住人にとっても経済的だ。しかし、それは管理への意識があって初めて成り立っている。管理に関心がないなら、マンションには住まない方がいい。最終的に自分の資産は自分で守るしかないからだ。お金をロスしてからでは手遅れだ。