マンションの集会決議を円滑に進める裏技(普通決議事項)

開催を主導する区分所有者にとっても、それに召集される側にとっても面倒なマンションの集会。「マンションの管理」を生業とできるほどの内容であるコトからも、いかに複雑な要素が絡んでいるかが伺える。ただし、主体はあくまでも住人(区分所有者)であるコトには違いない。そして、また、この本質的な要素を一切考慮しない住居人が多くいるのも事実だ。マンションの集会に一度でも参加したコトがある人なら知っているだろう、毎度集会に参加もせず、議決権すらも行使しない住居人が居るコトを。

 

集会そのものへの参加は自由であるものの、管理者への監査機能を果たす役割があるコトから、最低限1年に1回開催されるものへは参加した方がベターだ。不正が起こる時も基本的には、他の区分所有者の無関心さを突かれて発生するケースがほとんどだからだ。そして、年に数回程度しか開催されない集会で集まると、色々と有機的な意見が出るものだ。

 

しかし、集会において基本的には事前に通知した事項以外の決議はとれないコトなっている。仮に、その集会の場ですぐに決議をとりたいような事案があってもだ。これは、参加していない議決権を持つ区分所有者を保護するためだ。集会の開催で決議される事項がある時は、事前にどんな内容についてなのかを通知する必要があり、その内容に基づいて集会への参加を決めている人も居るであろうという想定のもとのに成り立っている。

 

仮に、毎回毎回議決権すらも行使しない無関心な区分所有者が居たとしてもだ。

こういった事態を打破し、必要な決議を迅速にとっていくためにも、区分所有法上には便利な条項が設けられている。

 

区分所有法 第37条(決議事項の制限)

  1. 集会においては、第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
  2. 前項の規定は、この法律に集会の決議につき別段の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすること妨げない。

 

上記第1項にある、第三十五条とは「召集の通知」に関するコトなので、ここでは無視してもらって構わない。見てもらいたいのは、第2項の赤字部分だ。「規約で別段の定めをすることを妨げない」とあり、これは「規約で別段の定めができる」という意味になる。ただし、議決権の過半数で決議できる普通決議事項においてのみとなる。議決権の3/4以上の決議が必要となる特別決議事項については有効ではないというコトだ。

 

例えば、修繕積立金を10%値上げすべきだという意見に対して、そのまま決議してしまうようなケースだ(議決権者の過半数が出席している前提)。決議されてしまうと、事前に通知されていなくても、そのまま決議できてしまうのだ。上記に示したように規約で別段の定めを設定してしまうと。当たり前のことだが、特別決議事項となる「建て替え」や「大規模滅失の場合の復旧」などは決議できない。あくまでも、普通決議事項のみだ。

 

気をつけなくてはならないのは、こう言った法律を熟知していなくても、この条文の部分だけを知っている人が画策して、管理規約を改正し、都合の良い普通決議事項をバンバン決議するようにできてしまう側面があるというコトだ。法律が開かれたルールであり、誰も知り得るモノである以上はこう言った輩が出てきてもおかしくはないのだ。だからこそ、自らが主体と自覚し、集会やマンション管理の運営にも積極的に関与し、全体の利益を図っていくべきだ。